色はいらないけど軸がほしい

音楽、本、映画、人、言葉、時間その他諸々

波の行方

いつかの日記で私は書いていた。ちょうど昨年の今頃だったと思う。私の悩みの根本は ”自分の孤独感” にあるということを。

定期的に日記は読み返すが、最近はこのブログを書くようになったし、すぐ書きたいときは携帯のメモに記すから日記の出番は虚しくも減ってしまった。でも、だからこそちゃんと書残しておきたいことや、冷静に整理しながら書きたいことがあると日記に頼る。日記を書く頻度が減ったわけだから読み返す回数も以前に比べて減った。前回開いたのはいつだったか、3ヶ月くらい前かと自分でも思い出せないくらい前なのだが、その時は昨年の今頃書いた "自分の孤独感" に関する文章に対して嘲笑した記憶がある。「相変わらず悲劇のヒロインぶってんな」と。3ヶ月前といえば、ギターを購入したり、料理教室に通い始めたり、友達と旅行に出かけたりしていた。充実していたというか新しいことを始めて新たな楽しみを手に入れ始めていた時期だった。そして、自分には仲間がいるという確信を強め、安心を得ていた。そりゃあ孤独感は感じないだろうし自由に好きなことばっかやっていたから孤独について語っている文章なんかに共感できるはずがなかろう。「あ、自分少しは成長したんだな」なんて呑気に思っていた。

 

私の中で波は消失したように見えた。波が強かった時は「落ち着いて、平坦を歩きたい」と願っていた。でも、その願いが叶ったのかなんなのか静まった時には過去を羨望していた。「今でいいじゃない、今がいい」と言い聞かせ、飲み込んだの。

 

人はある程度の距離にいる。それはずっと変わらないのに自分にとって見えるようにしたり、見えないようにしたりする。ある時は、近づいたり、全速力で離れたり。私は昔から自分から離れることが多いように思う。今 ”拒絶過敏性” について学んでいるが、その類なのかもしらん。拒絶される恐れに耐えられず先回りしてこっちから拒絶する。離れられる側にストレスがのしかかるのは勿論だが、離れるという行為にもストレスが発生することを知った。確かにそうかもしれないな、じゃあなんでするんだよって話。でも、離れなきゃならない時もあるでしょ。

 

Saucy Dogというバンドがある。ボーカルの名前は、石原慎也という。

もう3年以上認知はしているが、彼から発する言葉に響いたことはなかったし、みんなから愛される主人公っぽいキャラクター的に夢中になることもなかった。(歌は上手だし、曲も絶対売れていく)ただ、一年前から石原さん、つまりSaucy Dogの音楽に触れないようにした。どこか雰囲気が似ていた。

そんな中、先週彼らの新曲 "雀ノ欠伸" がたまたま耳に入ってきた。

 

明日はオレンジの風が吹く カーテンの向こう側

新しい朝がたまに怖くなるよね 僕もそうだよ

 

2番サビ。なんだろね、あったかいよね。Saucy Dogの音楽、石原さんのこともっと知りたくなった。彼の前のSNSのアカウントは物凄くネガティブな発言が多かった。見た人もネガティブ伝染するやろレベル。今のアカウントはネガティブ発言は見られず、前向き発信が多い。ちらほら意味深なものが拝見されますが。ここ数日間ひたすらに彼の口から出てくる言葉を漁ってた。

「安心を求めるよりも沢山の矛盾を受け入れて強くなろうね、お互い」という言葉にどこか懐かしさを感じた。

 

「風向きが変わる時の潮目って今の僕らだよね」と、誰かが言っていた。